超高級腕時計リシャール・ミルはなぜ高額なのか?
みなさんは高級時計というと、世界三大高級時計メーカーの「パテック・フィリップ」、「オーデマ・ピゲ」、「ヴァシュロン・コンスタンタン」。
もしくは「ロレックス」や「オメガ」などの時計メーカーを想像するかと思います。
これらの高級時計メーカーには長い歴史があり、ヴァシュロンは250年、高級時計メーカーの中では歴が浅いと言われているウブロですら、40年以上あります。
リシャール・ミルはというと、なんと2001年創業。時計業界の中ではまだまだ若いメーカーなのです。
そんな時計メーカーがなぜここまで有名になり、高級時計メーカーとしてNo.1を取り続けることができたのか?
その秘密は1作目のリシャール・ミル。世界17本限定で販売されました(日本では未入荷モデル)。
さらに定価や値段は公表されておらず、一般には手に入らない時計だったそうです。
このモデルのすごいところは、”文字盤なし”
ムーブメントがデザインの一部になっており、文字盤をなくしスケルトンにすることでデザイン性を向上させています。さらに、世界三大複雑機構の1つであるトゥールビヨンを採用しているため、技術面からも高い評価を得ているのですが、すごいところはこれだけではありません。
高級時計は振動に弱く壊れやすいのですが、リシャール・ミルには耐震設計が施されているので振動しても問題ないように出来ています。
現在のような立ち位置を20年ほどで作り上げることができたのは、1作目から他社の高級時計メーカーが驚くような技術とデザインを、投資という形で買い支えたセレブの存在があるからなのです。
トゥールビヨンという機構を使用している時計はどのブランドのモデルでも1000万円前後の価格帯で販売してます。
リシャール・ミルの時計が高い理由のひとつが技術力。
トゥールビヨンのモデルは多く存在していますが、この機構はコンプリケーションと言われ、機械時計の中でも最も作るのが難しく、採用するだけで高級時計の価格は一気に跳ね上がります。
リシャール・ミルの時計が高いふたつめの理由はマーケティングです。
リシャール・ミルが狙っている客層は世界人口のうち1%ほどしか存在しない億万長者です。
この1%の人たちは世界の総資産の44%を保持しているといわれている超富裕層。
この超富裕層を客層としているため、超高級時計を作ってもそれに見合ったものであれば購入してもらうことができるということです。
高級時計というとムーブメントからデザインまですべてを自社制作で行っている“マニュファクチュール”という方法で作られていることがほとんどです。
マニュファクチュールの高級時計メーカーの一例をあげると、「パテック・フィリップ」「ヴァシュロン・コンスタンタン」「オーデマ・ピゲ」「ゼニス」「A.ランゲ&ゾーネ」「ロレックス」
高級時計メーカーが連なるマニュファクチュールの方法の中にリシャール・ミルが含まれていませんが…これは間違いではなく、リシャール・ミルのムーブメントは自社制作ではありません。
社長のリシャール・ミル氏が考案したモデルを、デザイナーや技術者に外注して出来ている時計がリシャール・ミルなのです。
その考案するモデルの機能や素材を全て一流のものだけ使用しているので価格が跳ね上がるのです。
トゥールビヨンは壊れやすい機構なので、リシャール・ミルが登場する前までは観賞用時計としての扱いがほとんどでした。
しかし、リシャール・ミルの時計は投げてもトゥールビヨンの機構が壊れないくらい丈夫に作られました。そのため、観賞用の時計から実用性のある時計に進化させたのがリシャール・ミルなのです。
また、ゴルフでは腕時計が壊れやすいため、ほとんどの方が時計を外されているそうですが、リシャール・ミルの時計はトゥールビヨンの複雑機構を用いているにも関わらずゴルフの衝撃を耐えることもできます。
投げても壊れないというよりも大きい衝撃から細かい衝撃まですべてを耐える耐震性を持っている時計。という言葉が一番似合う時計ではないでしょうか。
リシャール・ミルのこだわりは”低負荷””軽量”にあります。
高級時計でよく使われる素材は最近では、チタンやカーボンなども増えてますが基本的にはステンレススチールです。
リシャール・ミルで採用している素材もチタンやカーボンなどの素材で、実はこの素材が時計業界で流行る前から使用してます。
この素材はF1車体や航空機体にも使用されるくらいの最先端の素材なんです。
この二つの素材は軽くて丈夫という特徴があります。
一般的な機械時計の重量は150~200gで作られることが多いのですが、リシャール・ミルのモデルは40gのモデルが存在していています。
高級時計で複雑機構にはありえないくらい軽い素材を使うこだわりによって、リシャール・ミルの時計は高い金額で売られているのです。
企業が業績を伸ばすことで最も重要なことがマーケティングです。
どの層を相手にして商売をするかで商品のコンセプトも決まってきます。
もちろんコンセプトが先行することもあるかと思いますが、狙っている層を間違えてしまうと商品は売れません。
ロレックスでは中所得者~高所得者層をメイン層としてとらえており、色んな人に似あうようにデザインされ販売されてます。
ロレックス デイトナのアイスブルーは900万円と、富裕層に向けた商品も一部販売しているのでとにかく客層を広くとらえています。
リシャール・ミルが狙っている客層は全世界のうち1%しかいない超富裕層です。
なぜこのような層をターゲティングしたのかと言うとリシャール・ミルのコンセプトにあります。
リシャール・ミルは、ただ軽いだけでなく超高性能な時計をコスト度外視で作っています。
この時計を売るには、購入資金を多く持っている人をターゲティングするしかなく、必然的にターゲットは超富裕層となったのです。
ちなみに、初めて販売されたRM001やその次のモデルのRM002やRM003はトゥールビヨンを搭載しており価格は1,000万円オーバーです。この初めて発売されるモデルがトゥールビヨン且つ1,000万円オーバーということが話題となりました。
そして現在では、リシャール・ミルの広告塔(アンバサダー)としてF1レーサーやプロゴルファーなど富裕層が好むような方を選出して、富裕層にはもちろん、一般的にお金持ちと言われるような層にも知名度が広がり現在のような立ち位置にまで成長しました。
リシャール・ミルではこの”技術”と”素材”を、それにマッチングした”客層”に向けて商売を行うことで成功してきたのです。